建築を志した時、永遠に残る建築を目指し、可能だと思っていました(今もそう思いたい)。
30年間の設計活動で、明るい未来を建築の中に見出してもきましたし、手がけた建築にはいつまでも存続し続けて欲しいとも思っています。
しかしながら、阪神淡路の震災をTV画像で見、ニューヨークのWTCビルが崩れ去るのをリアルタイムで映像が報じ、3.11の現実を近くに感じるなどの経験から、建築の永続性は私の中であやしくなっていました。
奥会津の民家も日々失われ、日本の本来の建築文化の危うさを感じてもいます。
そんな中、身近?な元気な4人の女子「つなが~るズ」が『くさる家に住む』という本を出版しました。
幸い私も、まさに腐っている家を、セルフビルドで手を加えて生活していますので、この本に取り上げられているテーマは大変身近に感じられる事柄でした。
そして、暮らしの力が家を形作る・・・家は人に寄り添って、自然の一部として循環しながら、文化を生み出しながらいろいろな形で存続し続けていくんだ・・・ということを改めて教えていただいたような気がしています。
「くさる」は熟成。・・・・手をかけて暮らすことで味わいが深まる家。
「くさる」は朽ちる。・・・土と水と空気を汚さず建てられて、最後はひっそり土に還る家。
「くさる」は鏈る。・・・・人と人が鎖のようにつながって、人が人らしく生きられる家。
家・建築は時間と共に朽ちていきますが、本来の「住まう」ということ、「暮らしの力」があちらこちらで育っていることに安堵し、頼もしさを感じています。
この本が、そうした力強い住まい・家を、さらに広める原動力になってくれると良いですね。
1 件のコメント:
なるほど。
コメントを投稿