大学の講義で始めてお会いし、「池田先生」と呼び、その後設計事務所の先輩として「池田さん」、今は電話を頂くと、先生とまた言っている。
池田武邦さんが昨年末「二十一世紀は江戸に学べ」河出書房新社という本を出版した。
自伝ともいえる本です。
海軍士官として巡洋艦「矢矧」に乗り、マリワナ沖海戦、レイテ沖海戦そして最後に沖縄沖海戦で戦艦「大和」と共に参戦し九死に一生を得。
その後、建築家として日本の超高層の扉を開き、「みんなの会社」をコンセプトに日本設計の設立にたずさわり。日本の風景を変えた一人としてNHKで報道されました。
自然との共生を志向し、放置された工業団地用地に自然を蘇らせた「長崎オランダ村」「ハウステンボス」の設計から運営、経営にたずさわり、晩年は現代文明に疑問を抱き、茅葺屋根の家に生活しました。
そんな池田さん(ここでは親しみをこめて「さん」)から先日毘沙沢に電話。
「福島の震災地を見てきたよ」「君のところは大丈夫なのか」・・・・・・・
「君は今でも山の中なのか、たいしたもんだ」「良い家具作っているね・・・・」・・・・・「君の生活は今最先端だよ」「尊敬するね」とまで・・・90才に近い人生の大先輩にそうまで言われて・・・・・ただただ恐縮して「いや~たいしたことはしていません」などと。
私は、この大先輩が何ゆえに、奥会津の山の中に住む私などにそのように興味を示していただけるのか、少しわかるのです。それは価値観、人生観に関することで、人類の多くが疑問に思いつつも、どうにもならない現代文明の大きなうねりから、自らの意思で別の道を少しでも探ろうとする、そうした行動が気になるのだと思うのです。
私にとって、こうした精神的支えは実にうれしい事です。
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